リフォームNEXT改修工事

リフォームNEXT > 改修工事 > 

大規模改修工事の発注方法

大規模改修工事の発注方法としては、設計監理方式、責任施工方式、コストオン方式、CM方式などがあります。その内、最も一般的な発注方法なのが「設計監理方式」です。これは、設計および工事監理を設計事務所に委託し、施工は別の業者に依頼するという方法です。大規模改修工事の代表的な発注方法には、おもに以下のような方法があります。

設計監理方式

設計管理方式とは、設計監理と施工を別の業者が実施する方式です。設計に該当する部分としては、企画調査や診断、仕様および工法の検討、工事費の算出、施工業者が出した見積りチェックなどがあります。これらの作業を設計コンサルタントなどに依頼し、着工後は設計どおりに工事が進められているかを監理してもらいます。この発注方式のメリットは、設計と施工が別々となっていることによって、施工に関しては複数の業者が競って見積りを出す形となるため、適正な工事費用と質の高い工事が期待出来るという点にあります。しかし、工事費のほかに設計費も必要になってくるため、総額としてはかなり高くなってしまうというデメリットもあります。一般的には数百万円の費用が必要になってくるとされており、積立金によって資金を確保する場合は、戸数や居住者の多い大規模マンションに限定されてしまうことになります。さらに、施工は業者の競争となるため工事の質は確保出来るとしても、設計段階の仕様そのものが適切であるかどうか判断出来ないこともデメリットになります。

設計事務所などに支払う監理料は、拘束時間および時間当たりの単価によって決まります。時間当たりの単価は、地域ごとに「業務報酬基準」によって決められています。業務報酬基準とは、規定された作業者の人数と所要時間に作業者の時給を掛けた金額が基準となっています。要するに、業務報酬基準が原価となるわけですが、各設計事務所ではこれに利益分を加算する形で監理料を設定しています。そのため、監理料の相場は、この業務報酬基準の約2倍ほどとなっているようです。適性な監理料で設計を依頼するためには、お住まいの地域の業務報酬基準がどのように設定されているのかを知っておくことも大切です。

この方式では、施工業者の選定は完全競争入札制となるため、工事費用の高騰を防ぐことが出来ますが、設計事務所に施工業者の選定まで任せると、場合によっては談合が行われる可能性も否定出来ません。ですから、監理組合側でも施工業者を何社か候補に選び入札に参加させるなど、談合を防ぐための手を打っておくことも重要です。

責任施工方式

設計監理方式が設計と施工を分離する方式であるのに対し、責任施工方式とは、設計および施工までを一つの業者に任せる方式です。責任施工方式では、施工業者を直接選べるため、中間マージンがかからず、業者とのコミュニケーションが図りやすいといったメリットがあります。また、特定の業者に設計から施工までを一括で依頼出来るため、設計監理方式に比べると少ないコストで改修工事が行えるので、規模の小さいマンションに適した方式であると言えます。一方で、設計も施工も同じ業者が行うため、監理が甘くなったり、業者との癒着を疑われやすいなどのデメリットもあります。

責任施工方式では、1社に設計から施工までを任せることになるので、質の高い改修工事を望むのであれば、慎重に業者を選ぶことが重要になります。業者を決める際には、契約前にプレゼンや実績などから慎重に検討し、一部の役員の独断に委ねるのではなく、管理組合全体の総意として業者を決めることが必要です。

設計監理方式では、設計監理をすべて業者に委ねることになるため、費用も高額となり、小規模なマンションでは採用が難しい方式となっています。しかし、マンションの設計監理というものは、実際には業務の半分程度は建築の知識がなくても行えるものなので、この業務を管理組合が行うことによってコストの削減につなげることが出来ます。もちろん、最終的な確認を専門家に行ってもらう必要があるため多少の費用はかかりますが、責任施工方式であれば、このような方法でコストダウンを図ることも可能となっています。

管理会社に依頼する方式

事前の調査や仕様書の作成などをはじめ、工事の施工に至るまで、マンション改修工事のすべてを管理会社に委託するという方式です。基本的には、分譲会社など、管理会社側の推薦業者による責任施工方式となるケースが多くなっています。この方式を採用する場合は、管理組合と管理会社の間に信頼関係が成り立っていることが重要となります。信頼関係がないと、管理会社が高額な中間マージンを請求して費用が高くなったり、適切な施工監理が行われないなどの可能性も否定出来ません。

さらに問題なのは、組合側の予算を知っているという点です。そのため、上限ギリギリまで予算を引き出そうと画策してくるおそれもあります。営利企業である管理会社が、利益優先の考え方をしてくるのはある意味致し方ないことなのですが、だからこそ、本当に信頼出来る管理会社の場合に限って、この方式を採用することが重要となってくるのです。

管理会社に依頼する場合も、やはり談合が行われる可能性が無いとは言い切れません。ですから、管理組合側でも別の業者に見積りを依頼して、必ず相見積もりを取るようにした方が良いでしょう。

複数の業者に仕様などを提案してもらう

準備段階から複数の業者に仕様や工法、費用などを提案してもらった上で、その中から最もベストな業者を選ぶというものです。これにより、施工業者を探す手間が省けますが、設計から施工まで一社に託すことになるため、競争意識の低下を招いたり、注文会社と施工会社、そして管理組合との間で潤滑なコミュニケーションが取れず、トラブルが発生するといったおそれもあります。ですから、大規模改修工事において十分な実績があり、本当に信頼して委託出来る業者を選ぶことが重要となります。

CM(コンストラクション・マネジメント)方式

この方式は、アメリカで一般的に採用されている方式で、CMR(コンストラクション・マネジメント・リーダー)と呼ばれる専門知識を持つ人物が、発注者の補助的な立場から、設計や施工業者の選定、そして監理に至るまで携わり、元請けや下請けを問わずすべての業者に資材やサービスの費用なども開示させるというものです。CMRは、日本では制度が確立されていませんが、高度な専門知識と倫理観が求められるポジションであるため、アメリカでは資格制度となっています。施工業者を選ぶにあたり、競争入札の形となるため手間は掛かりますが、施工会社に直接発注する形になるのでコストは大幅に抑えることが出来ます。また、設計会社が設計や監理を請け負うことにより、質の高い工事が期待出来るのもメリットの一つです。

マンションの大規模改修工事の場合、本来は設計事務所や設計コンサルタントに設計および監理をお願いするのが理想的です。ただし、それには相当な費用が必要となります。戸数の多い大規模マンションであれば、1戸当りの負担も少なく、積立金によってその費用を賄うことが可能になると思います。しかし、設計や監理にかかる費用が施工金額の10%以上に達するケースもあり、中小規模のマンションにとってはかなり負担が大きくなってしまい、施工とは無関係のコンサルタントを雇うために余計な費用を住民に負担してもらうことは、現実的にはかなり難しいものがあります。

小規模マンションの場合は、このCM方式の採用を検討するのも一つの方法です。
管理組合の手間は多少多くなってしまいますが、積立金を最も有効に使える方式だからです。ただ、建築後初めての大規模改修工事となる場合は、大抵は塗装やタイルの補修程度で済んでしまうため、一社のみで対応可能となり、実質的には責任施工方式とあまり変わらなくなります。

手抜き工事を防ぐ方法

大規模改修工事を業者に委託する際、業者間の競争原理が働かないような場合は、やはり手抜き工事が行われるのではないかといった心配が伴います。そこで、公共工事で一般的に行われているように、業者に対して報告義務を課すのも一つの方法です。

例えば、外壁塗装に多く見られる手抜き工事としては、塗料を決められた量よりも薄めてしまうというものがあります。材料費の節約と作業効率の良さからこのような手抜きを行う業者がいるのですが、規定よりも薄められた塗料で塗られた外壁は、塗膜が薄く本来の性能を発揮出来ない状態となってしまいます。

これを防ぐためには、施工に使用するすべての塗料缶の数を管理組合側で把握し、業者に対して使用前後の写真の提出を義務付けるのです。こうした対策を施すことにより、業者の手抜き工事を抑止することが可能となります。

一括見積を利用すれば複数の業者に対して一括で見積りを依頼出来ます。見積の依頼はもちろん無料です。見積を比較して適正価格の納得のいく業者を探しましょう。

CONTENTS